DISHと脊椎病変と合併症

DISH:diffuse idiopathic skeletal hyperostosis=びまん性特発性骨増殖症では、骨化する部位によって、また大きな骨棘によって、脊髄の狭窄の原因となる。脊椎の硬直(硬くなるが、しなやかさが欠ける)により、骨折のリスクが高くなる。

 

骨折しても、DISHによる痛みと勘違いされてしまい、認識されず、悪化することもあり、それにより治療が遅れ、障害が残ってしまう場合があります。DISHは骨が新しく作られ、骨棘という骨を作り、一見硬そうに見えるレントゲンなのですが、しなやかさが欠け力の分散力が落ちてしまうため、骨折をしやすい。ということをきちんと認識しなければいけません。

 

 

DISHと脊椎病変と合併症
飛び出した骨によって、圧迫される症状も見られます。特に頸部に起こってくる場合、様々な合併症を起こすことが知られています。

嚥下障害
嗄声
喘鳴
後縦靭帯骨化症
脊髄症
誤嚥性肺炎
睡眠時無呼吸
胸郭出口症候群
食道の狭窄
挿管困難症
内視鏡検査時の合併症増加

 

などは、リスクとして知られています。

 

嚥下とは、食べ物の呑み込みのことで、飲み込むためのスペースが狭くなってしまうために、呑み込みの障害がおこり、誤嚥して肺炎になってしまう場合があります。
また、気管挿管や胃カメラをするときに、首の運動により脊髄を圧迫したり、DISHの患者さんだと神経障害を生じてしまう可能性があります。
DISHは症状がない場合もあるので、メタボリックシンドローム的な患者さんを診た時にはDISHがないか注意して手技をする、というような意識が必要です。

 

実際には、全例で処置の前にX線撮影をすることは難しいかもしれません。ただ、すでにDISHが分かっている場合には注意するのは妥当なことだと思います。

 

また、誤嚥性肺炎は嚥下に適した食事の形態や食後のまっすぐな姿勢で予防できるため、DISHがわかったら、患者に伝える。自分の家族がDISHだと知っていたら、食事の方法を工夫する。などの予防方法があります。

 

DISHと脊椎病変と合併症は、上の表に上げたようないくつかの合併症があります。
これらを知って、気を付けるべきものは気を付けていきましょう。